みやぎの漁業紹介
養殖業
養殖業は海や湖などで行われますが、宮城県は海での養殖が盛んです。これは、みやぎの海は入り組んだ湾が多く養殖に適しているためで、沿岸の波静かなところに、筏やロープ、囲網などを入れて魚、貝、海藻などを育ててとります。
ノリ・カキ・ワカメ・コンブ・ホタテガイ・ホヤ・ギンザケ等たくさんの種類が養殖されています。
- ノリ
- 本県では、江戸時代に気仙沼湾で養殖が始められました。その後、県中部や南部にも広がり、昭和30年頃からは人工種苗と養殖技術の進歩で外洋でもノリ養殖が行われるようになり、生産量が飛躍的に増えました。現在では加工工程がほとんど機械化されて均質な味のよい乾のりが生産されています。ビタミンA、B群、Cを多く含む栄養豊かな食品です。
- カキ
- カキはグリコーゲンという栄養素を多く含む「海のミルク」とも呼ばれています。特に寒くなってから美味しさが増し、洋の東西を問わず好まれています。宮城県での養殖の歴史は、今から約300年前に松島湾で始められてから技術の改良により漁場が広がるなど主力養殖種目になり、全国2位の生産をあげ、主に生食用として流通しています。また、本県は養殖用種ガキの生産県としても有名で、全国に出荷しています。
- ワカメ
- 本県では昭和31年に採苗の量産化に成功したのと同時に女川町小乗浜で垂下養殖による企業化が始まりました。養殖施設数も沖合に向け年ごとに増えて、金華山以降の沿岸の主要種目になり、岩手県に次いで全国2位の生産を上げています。ヘルシーフーズとして味噌汁やスープなどの椀種のほかサラダ、酢の物など幅広く食卓に使われています。
- コンブ
- コンブといえば北海道が有名ですが、本県でも昭和40年代に養殖が始められ、今では気仙沼湾、松島湾を中心に生産されています。本県のコンブは葉が柔らかい特性を生かして、結びコンブやスキコンブなどに加工され、おでん等に使われています。
- ホタテ
- 北海道、青森が有名ですが、本県でも昭和40年代頃に盛んに養殖されていました。一時へい死問題で生産が減少しましたが、技術の改良により安定した生産が可能になりました。特に本県産は成長がよく、生鮮貝としての需要が高いことから、また近年生産が増えています。
- ホヤ
- 金華山以北の沿岸部で採苗され収穫まで3,4年の歳月をかけ養成されます。採苗時期は12月~1月で、収穫は初春から夏にかけて行われます。「海のパイナップル」とも呼ばれ、東北の珍味の一つとなっています。夏が旬で刺身や酢の物がおいしく、生食でも利用されるほか珍味加工品としても人気がでています。
ギンザケ
昭和50年に志津川町で海中養殖が始められ、その後、県北部や中部にも養殖が広がり、生産量は全国生産の約9割を占めるようになりました。稚魚は山間部の清流で育てられ、秋に体重200gぐらいで海に移されます。その後速やかに成長し、翌年の初夏までには2~3kgに達します。本県のギンザケは脂がのり、刺身、ムニエル、マリネなどに向いています。
沿岸漁業
大体日帰りで操業できるくらいの範囲で漁を行う漁業です。船は20トン未満の大きさで、乗組員は1人乗りから5~6人乗り等、船の大きさ、漁業の種類によりまちまちです。宮城県沖は全国的にも有数の好漁場であり、たくさんの種類の魚介類がとれます。
主な漁獲物は、カレイ・ヒラメ・アイナメ・メバル・マダラ・サバ・サケ・イワシ・アナゴ・イカ・イカナゴ・・・・・・・・ ウ-ン 数えあげるときりがありません。アワビやウニなどのように小さいうちから育てて大きくなってから大事にとるという漁業もあります。
- 火光利用敷網漁業
- 4月~5月頃、仙台湾の沖合などで水中に網を張り、その上に集魚灯をつけてイカナゴの群を集めてから網を引き揚げて漁獲するものです。ランプ網とも呼ばれます。
- すくい網漁業
- 木またはFRPの長い二本の棒を組んで、先に袋状の網を取り付けてイサダ(ツノナシオキアミ)などが濃く集まったところをすくい取るもので、春先2月~5月頃が漁期です。なお、平成3年からは、網を曳いてイサダを獲る、オキアミ船びき網漁業が許可漁業として認められています。
- 固定式さし網漁業
- 魚の泳ぐところをさえぎるように網を張り、網目に魚を刺させたり、絡め取ったりする漁法です。ヒラメ・カレイ類、マダラ、メバル、アイナメなどを獲ります。
- 小型底びき網漁業
- 底魚をとるため、浮きと沈子を取り付けた網を水中に入れ船を進ませて海底を引き回す漁法です。網口を広げる装置を取り付けたものは「板びき」とも呼ばれます。漁業法では、15トンより小さな船を小型底びき網漁業といい、それ以上に大きい船で操業するものを沖合底びき網漁業といいます。
- 定置網漁業
- マグロ・イワシ・サバなど毎年一定の時期に、餌をさがしたり、産卵のために沿岸にやってくる習性を利用して、魚の通り道をさえぎるようにながい網を張り、魚が逃げないように仕掛けした身網に誘導して漁獲する漁法です。水深27mより深いところのものを大型定置網、それより浅いところのものを小型定置網と呼びます。
沖合漁業
沿岸漁業より大きな船、大体20トンから100トン以上の船で、何日もかけて沖合で操業する漁業です。豊かな漁場が多く、みやぎの漁船は沖合底びき網漁業、さんま棒受網漁業などが多くあり、ほかにも大中型まき網漁業、近海かつお1本釣漁業、いかつり漁業等があります。沿岸漁業とあわせて季節に応じたいろいろな種類のみやぎの旬の魚を水揚してくれます。
- 沖合底びき網漁業
- 15トンより大きな船で、袋状の網を曳きながら魚を獲るもので、マダラ、キチジ、スルメイカ、イトヒキダラなど深い海にすむ底魚類を対象とします。漁獲効率が高いため、小型底びき網漁業と同様に、漁具や区域などの制限が設けられています。
- さんま棒受網漁業
- 100トン前後の船で、千島周辺から房総にかけて親潮に沿って南下してくるサンマの群れを、夜間集魚灯で網に誘導して獲る漁法です。秋10月~11月頃には三陸・常磐沖が漁場となり、女川、気仙沼の魚市場に連日大量の水揚げがあります。
- 近海まぐろはえなわ漁業
- 気仙沼が漁業基地として有名です。60~80トン位の船で、長い幹縄にイカやサバなどの餌を付けた鉤針を海中に垂らし、食いついたマグロをとるものです。
遠洋漁業
200トンから500トンくらいの大型の船に乗り、日本を長い間離れ世界の海を航海してマグロやカツオ、イカ等をとる漁業です。特に、日本のマグロ刺し身市場を支えている重要な漁業でもあります。近年は世界的に200海里水域が設定されたことや、公海での漁業も規制され、操業海域が狭まってきており、また、資源を乱獲する外国の漁船(便宜置籍船)が増えてくるなど、経営が難しくなってきています。
内水面
河川や湖沼にすむ魚や貝などを捕ったり養殖したりする漁業です。宮城県には北上川、阿武隈川をはじめ329の河川があり、イワナ、ヤマメ、ウグイ、アユ、コイ、フナ、ウナギ、シジミなどが生息しており、伊豆沼、長沼などの湖沼にはコイ、フナ、ワカサギ、エビ類など生息しています。釣や投網によるほか、胴、篭など昔からの工夫を凝らした漁具・漁法が今も用いられています。漁業協同組合が稚魚の放流等行い管理しています。ギンザケ稚魚の養殖やサケの孵化放流等も行われています。最近はブラックバスの密放流で既存の魚が捕食され激減するなどの問題が起きています。