アサリの身100gは49kcalと極めて低カロリー。しかも成分の大部分を占めているのは良質のタンパク質です。コレステロールの値が低いのも特長で100g中36mgですからイカ312mg(100g中)のおよそ9分の1。反対に旨味成分のコハク酸をあわびの10倍も含んでいます。身100g中の鉄分は7mgで、ヤツメウナギの9mg(100g中)や鶏レバー9mg(同)に次ぐ程です。女性に不足しがちの鉄分を補うのに最適。美味しくてヘルシーな「アサリ」は健康美人のもと、ですね。

  アサリの栄養(100g中)
  水煮
エネルギー 49kcal 114kcal
水分 86.8g 69.8g
タンパク質 8.3g 16.8g
脂質 1.0g 0.8g
糖質 1.2g 0.8g
灰分 2.7g 3.4g
カルシウム 80mg 75mg
リン 180mg 280mg
7.0mg 8.0mg
ナトリウム 400mg 800mg
カリウム 230mg 70mg
ビタミンA効力 60IU 30IU
ビタミンB1 0.01mg φ
ビタミンB2 0.15mg 0.06mg
ナイアシン 1.5mg 1.2mg
ビタミンC 2mg 0


古代中国では旧暦3月3日に水辺で飲食をする習わしがあり、罪やけがれを清めるみそぎの行事だったと推定されています。九州地方に伝わる三月節供の磯遊びや、沖縄地方の浜下り、三月遊び、そして紙雛にけがれを移して川に流す流し雛の風習も、古代中国の節供行事の名残りと考えられています。江戸時代に入って、江戸や大坂では3月3日の行事として潮干狩が盛んに行われるようになりました。現代の三月節供は…お雛様を飾って華やかに祝う女の子の祭り。永い間に変化はしても、雛の膳につきものの貝料理に水辺とのつながりは残されています。



日本の各地に2000ヶ所以上ある貝塚は、古代人の生活を知る貴重な手がかりを現代に伝えてくれます。それは貝殻の炭酸カルシウムが土を中和し、保存に良い条件をつくるため。姥山・大森貝塚などでは住居跡、モヨロ貝塚では狩猟が行われたことを示す海獣の骨が発見されています。さて、貝塚の貝の種類は、沖縄ではシャコガイやヤコウガイ、関西以西ではハイガイ、関東地方ではハマグリ、ハイガイが多く見られますが、宮城県では主にアサリ。大量のアサリの貝殻とともにマグロなどの大型魚の骨も出土して、高度な漁労をうかがわせています。